日本人は寝ていない?世界各地の睡眠事情

睡眠は重要と分かっていても、仕事で連日帰りがどうしても遅くなるといった自分ではどうにもできない要因や、スマホやテレビを見てしまうといった要因で、どうしても眠る時間が遅くなり、睡眠時間が短くなりがちな方多いですよね。

睡眠時間の国際比較によく使われる経済協力開発機構(OECD)の統計(Gender Data Portal 2019)には、世界33カ国の1日に睡眠に費やす平均時間が掲載されています。それによると、日本人の平均睡眠時間は442分、約7時間半です。大人に必要な睡眠時間は約8時間と言われているため、指摘されているほど短くないのでは?という印象を受ける人もいるでしょう。

 

それでは、他の国々の平均睡眠時間は一体どれくらいなのでしょうか?

まずは、日本と同じく睡眠時間が短いと言われている韓国。韓国は471分と、日本よりも29分長い結果となっています。実はこの他、数カ国の睡眠時間が500分を切っていますが、大半の国が500分以上なので、やはり全体的にみると日本の睡眠時間は突出して短いことになります。

では次は、時間の長い国々を見ていきます。

まず、データ上で睡眠時間が一番長いのは南アフリカの553分、約9時間半。週末でもなかなかこんなには眠れないという長さでしょうか。羨ましいと思う一方で、8時間以上の寝すぎもまた健康によくないという話もあることを考えると複雑です。そして、二番目に長いのは中国の542分、約9時間ちょうどです。眠りの短い日本と韓国の隣の国ですが、しっかり睡眠が取れています。

一方で、中国睡眠研究会の調査では、中国の6-17歳までの子供の6割の睡眠時間が8時間未満であるとの結果も出ています。同研究会は、睡眠へ影響を与えている原因としては、スマホやパソコン以上に、学習面の圧力と答えた人が67.3%もおり、月曜から木曜までの午後11時の時点でまだ勉強中との子供が8%以上もいると指摘しています。日本でも夜遅くに塾帰りと思われる子供を見かけることは珍しくありません。また、韓国の受験戦争の過熱は日本でも話題になるほどです。当ブログでも、睡眠は子供の成長に重要であることや、適度な睡眠を取る方が勉強の効率が良くなることを取り上げたことがあります。勉強の前に、生活習慣の見直しも大切ですね。

さて、次に気になる国はスペイン。平均睡眠時間は516分、約8時間と比較的理想の長さです。スペインといえばシエスタです。昼休みが2-3時間ほどあり、昼寝をしているというイメージがあります。スペインの夏は日差しが強く、暑さのピークが昼過ぎです。加えて、夏は、日の出が朝6時過ぎで日の入りが夜10時近くと活動できる時間が長いため、一番暑い時間は休憩を取っているのです。シエスタは、気候風土に由来する習慣なのです。ただ、国際取引も多い現在は、他国と足並みをそろえて競争力を高める必要性から、シエスタの習慣はなくなりつつあるようです。まず、大企業がシエスタを廃止し、2006年には公務員のシエスタも廃止されました。今では多くの企業の昼休みが日本と同じ1時間ほどだそうです。昼に20分ほどの仮眠を取ると、午後の仕事効率が良くなるということが分かってきているので、シエスタの良い部分を残せると良いですね。

残りの主要国の睡眠時間を見ていきましょう。米国は528分、フランス513分、英国508分といずれも8時間は超えています。これらの国では睡眠は問題になっていないのかというとそうではないようです。米国は睡眠薬の市場規模が世界一位だと言われています。フランスでも不眠を訴える人が増えているという指摘もあり、英国では最近民間企業が行った調査では、英国の成人の平均睡眠時間は6時間41分(401分)で、多くの人が目覚ましのスヌーズ機能を使って二度寝をしているとの結果が出ています。

このように、平均的に見ていくと十分に眠れているように見えても、年齢分けや性別で分けるなど更に詳しく調べていくと、睡眠不足が課題となっている国は日本だけでは無いようです。スリープテックの開発が世界各地のベンチャー企業で進んでいるのも、眠りは重要な一方で、問題となっているということを物語っています。

様々な睡眠に関する調査で、眠れない原因として出てくるのは、スマホやパソコン、テレビなどです。どれも便利で必要不可欠ですが、それらに振り回されず、睡眠時間をしっかり確保するという意識を一人一人がよりしっかりと持たなかればいけませんね。