日本では、冬の風が流行しやすい時期や、春の花粉症が増える時期など、街中でマスクを着けている人を見かけることはもともと珍しいことではありませんでした。ドラッグストアなどにも様々な種類のマスクが販売されており、一般の人たちがマスクを着けているところを街中で見かけることがまず無い欧米諸国に比べ、マスクはかなり身近な存在です。そして、今は外にいるほとんど全ての人がマスク姿で、政府もマスクの配布を開始。日本以外にもマスク着用を推奨する国が出てきています。そんなマスクですが、実はその効果は専門家の間でも賛否両論。今回はマスクの意義と正しい付け方についてまとめます。
COVID-19の世界的な感染拡大が始まった当初は、世界保健機関(WHO)は、せきやくしゃみなどの症状がない人は、予防目的で公共の場でマスクを着用する必要は無いと呼び掛けていました。4月に入ってからも、せきやくしゃみをする場合、他人にうつさないための目的でマスク着用を推進するが、一般向けマスクを着けても、自分自身の感染を予防できる根拠は無いとしています。
一方で、米国の疾病管理予防センター(CDC)は、体調不良でない市民へもマスク着用を推進しているほか、日本や欧州の一部の国々もマスクの着用を推奨しています。
このように、マスクを巡っては国際機関や国でも見解が異なっているのです。
マスクの意義は、以前から様々な検証が行われてきました。
2008年~2009年にフランスで行われた、マスク着用によるインフルエンザ感染に関する調査では、マスクを着用した人たちと着用していな人たちとの間に、インフルエンザ発祥率に大きな差はなく、マスクに大きな予防効果は見られませんでした。また、日本の医療機関で行われたマスク着用と風邪の症状発祥の調査でも、マスク着用に特に大きな効果は認められなかったそうです。
一方で、2009年に香港で行われた調査では、手洗いとマスク着用を両方推奨することで、家庭内でのインフルエンザ感染抑止に繋がることが分かっています。更に、重症呼吸性呼吸器症候群(SARS)の集団感染が発生した際に行われた様々な研究を対象とした分析では、手洗いよりもマスク着用のほうがSARSウイルスの感染防止に効果的との結果が出ました。
このように過去の実験でも相違する様々な結果が出ているうえ、マスクの着用方法、着用するマスクの種類によっても効果に影響が出る可能性があるため、はっきりとした結果を導き出すのは難しいようです。
では、なぜマスク活用を推奨は一部では推奨されるのでしょうか?
それは、マスク着用により誰を守るかという部分がカギになります。感染症の拡大を防ぐには、自分の身を守るのももちろん、もし自分が感染した場合、他人に移さないということも重要です。特にCOVID-19は感染しても自覚症状が無いケースや、症状が出るまでの潜伏期間が長いことが報告されています。マスクを着用していれば、くしゃみをした際などに飛沫が飛び散るのを防ぎ、外出した際に、周りの人への感染リスクを下げることができる可能性があります。
少しでもマスク装着の効果を上げるためには、正しい付け方をする必要があります。プリーツタイプ(ひだ)の使い捨てマスクの場合、装着前にしっかりとプリーツを上下に引き延ばして、顎の下から鼻までしっかり隠れるようにし、ノーズピース(ワイヤーが入っている部分)はしっかりと鼻の形に合わせます。マスクの正しい付け方は、政府インターネットテレビで動画で確認できます。
マスクは、プリーツのひだが下向きになる方が表面です。ひだが上を向いていると、そこへホコリやチリが溜まりやすくなってしまいます。プリーツが無い場合、間違いやすいのは、ヒモの接着面が外側についている方が表です。装着時になるべく顔にマスクをフィットさせ、ホコリなどの侵入を防ぐためです。ただし、マスクは様々なメーカーが多様な種類を出しているので、着ける前にパッケージを見て、表と裏を確認してください。
まだ予断を許さない状況ですが、できる予防策をとって健康に気を付けて過ごしてください!