嘘?本当?睡眠に関する知識

世の中にはいろいろなタイプの人がいますが、眠るという行いは誰もがすることです。

特にこの数年でその重要性が指摘され、様々な情報が見られるようになりました。しかし、眠ることについてはまだまだ研究途中で、分からないことも多いのです。新事実が発見されたり、多くの人が信じていたことが実は医学的根拠が無かったり・・・。今回は睡眠に関する豆知識をご紹介します。

 

1.低血圧だと朝に弱い?

低血圧だと朝起きるのが苦手や寝起きが悪いというのは、かなり多くの人が信じていることではないでしょうか。

でも、現実には血圧が低くても早起きの人もいるし、高血圧でも朝が苦手な人もいます。

血圧は、血液が血管を通る際に、血管にかかる圧力のことです。心臓が収縮し、血管に一番圧力がかかった数値が最高血圧、その後に心臓が広がり一番低くなったときの数値が最低血圧です。一般に、再考血圧が90mmHg未満が低血圧、最高血圧が140mmHg以上または最低血圧が90mmHg未満が高血圧と言われています。

低血圧は、①若い女性に多いと言われる本能性低血圧、②立ち上がったときに瞬間的に血圧が低下する起立性低血圧、そして③何かの疾患が原因で低血圧となる3種類に分けられます。

医学的には、朝起きられないことと、血圧は直接の関係はないとされています。

朝に弱い原因とされているのは、自律神経の乱れです。起きているときに活発に働く交感神経と、眠るときに活発に動く副交感神経が、約12時間ごとに入れ替わることで、夜には眠気が起き、朝には目覚めるようになります。この入れ替えがうまくいかないと寝起きが悪くなります。自律神経の乱れは、精神的なショックや疾患で起きることもあれば、遺伝的に調整がうまくいかない人もいます。また、健康な人でもストレスがたまったときや、栄養バランスが崩れたときなどに乱れてしまうこともあります。血圧も自律神経も改善には栄養バランス、適度な運動、ストレス発散がカギを握っていることは共通しているので、気を付けましょう。

 

2.睡眠時間は遺伝子で決まる?短時間睡眠の遺伝子発見

眠るのが好きで、長時間眠らないと気が済まない人、眠る時間はもったいないと思っていて、ほとんど眠らなくても平気な人・・・身の回りにはいろいろなタイプの人がいますよね。

大人に必要な睡眠時間は一晩に7-8時間ほどということはよく言われており、短時間睡眠が続くと体調を崩しやすくなったり、脳の老化が早くなるなど有害なことが起きることが分かっています。しかし、世の中には短時間睡眠でも特に問題なく快適に日々を過ごせるショートスリーパーの人たちも存在します。

カリフォルニア大学の研究チームが約10年前に最初にショートスリーパーの遺伝子を発見しました。チームは、夜中に就寝しても翌朝4時頃には目覚めてしまうという女性とその家族を対象として遺伝子の比較検査を行い、ショートスリーパーの体内ではDEC2という遺伝子が突然変異を起こしていることを突き止めたのです。

そして、この研究チームは二つ目のショートスリーパー遺伝子も発見しました。今度は、DEC2に変異が見られないのに3世代揃ってショートスリーパーの家族を対象に研究し、β-1アドレナリン受容体遺伝子(ADRB1)という遺伝子において、1つだけ塩基置換が突然変異を起こしていることを見つけました。

これらのショートスリーパー遺伝子を持つ人たちは、睡眠時間が7時間以下でも睡眠不足の有害性には該当しないようです。

ただ、睡眠にはまだまだ不明なこともたくさんあるので、無理をして短時間睡眠を続けることは避けたほうが良いですね。

 

3.スヌーズ機能は目覚めを助ける?

目覚ましが鳴ってもあと少しだけ眠りたいという場合、スヌーズ機能を使いますよね。

でも実は、この半分起きて半分眠っている状態を続けることで、余計に起きることがつらくなっているかもしれません。

スヌーズ機能を使うには、目覚まし時計は絶対に起きないといけない時間よりも早めにセットしなくてはいけません。睡眠中は深い眠りのノンレム睡眠と浅い眠りのレム睡眠を約90分周期で繰り返します。そして、実際に起床しようと意識している時間の1時間ほど前になると、脳はコルチゾールというホルモンを放出し、レム睡眠状態へ移行することで体が起床の準備を始めます。この準備に伴い目覚めれば快適な目覚めとなるのですが、この気象準備の途中でアラームが鳴り、スヌーズボタンを押すと睡眠のサイクルが妨げられ、再びレム睡眠に戻ることはできません。つまり、スヌーズ機能を使用することで、目覚めへのリズムが崩れ、起きたときの疲労感が大きくなってしまうのです。

このことから、朝はやはり目覚ましが鳴ったらすぐに起きる習慣をつけたほうが、無理なく一日を始められそうです。

 

睡眠については、これからも新たな事実が発見されるかもしれません。

健康に直接関わることなので、噂に惑わされずに正しい情報を入手しましょう。